光の差す部屋で、木の椅子に脚を組んで座る人。手前の古い木のテーブルには、コーヒーと本、革の小物が置かれている。

WORLD 0112 STORIES

FASHION

着ることの、ちょっと不思議な話。

  1. 1906年の白黒写真。パナマ運河の工事現場で、巨大な蒸気ショベルの運転席に、白い服と白い帽子のルーズベルト大統領が座っている。まわりに帽子をかぶった作業員たち。パナマ帽は、パナマではなくエクアドル生まれ世界に広めたのは、運河を視察した大統領の一枚の写真だった夏の麦わらの中折れ帽「パナマハット」。編まれているのは、エクアドルの海辺の農家だ。ヤシの仲間の繊維で、1つ編むのに1日から8か月。なぜパナマと呼ばれるのか。旅人の通り道と、1906年の大統領の写真。
  2. フランスの港町の石の岸壁に、紺と白のしまのシャツにジーンズの男性がもたれている。後ろに漁船と古い建物。AIで作った絵で、実在の人物の写真ではない。ボーダーのシャツは、フランス海軍の水兵の肌着だった1858年の決まりで、しまは20〜21本紺と白の細いしまのシャツは、フランスでは「マリニエール(水兵の服)」。霧の海でも見つけやすいと言われるしま模様は、1858年に海軍の制服になった。しまの幅は1センチ、間は2センチ。ココ・シャネルが街に連れ出し、休日の服になった。
  3. 窓辺の木の机に、小さな葉や鳥を鉛筆で描いた紙が2枚と、色鉛筆、たたんだ緑や紺の布、糸巻き。AIで作った絵で、実際のアトリエの写真ではない。ミナ ペルホネンは、魚市場で働きながら始まった「せめて100年続くブランド」と紙に書いてから30年手で描いた柄の布から服を作るブランド、ミナ ペルホネン。1995年に皆川明さんが八王子のアトリエで始め、2025年に30周年を迎えた。名前はフィンランド語で「私」と「ちょうちょ」。
  4. 濃い紺色の布の上に、大きな黄色いダイヤモンドが1つ置かれ、光を受けて輝いている。AIで作った絵で、実物のティファニー・ダイヤモンドの写真ではない。ティファニーの黄色いダイヤモンドは、半分以上を削って輝きを選んだ150年近く、身につけた人は数えるほど287カラットの黄色い原石を、128カラットまで削って輝きを選んだティファニー・ダイヤモンド。1972年の「100年後には1,000万ドル」の広告から、身につけた4人、5番街の本店までをたどる。
  5. 海の見える窓辺で、花や波の柄の半袖シャツが、木のハンガーに何枚もかかっている。AIで作った絵で、実物の写真ではない。アロハシャツは、着物の生地から始まった沖縄の「かりゆし」とクールビズまで、夏の仕事着の話アロハシャツは、ハワイの日系の人たちが着物の生地でシャツを仕立てたのが始まりとされる。アロハ・フライデー、沖縄のかりゆしウェア、環境省のクールビズまで、夏の仕事着をたどる。
  6. 古い木のテーブルの上に、クリーム色の文字盤に黒い小さな3つの時計が並ぶ、黒い革ベルトの腕時計。そばに、革の運転用手袋。AIで作った絵で、実際のニューマンの時計ではない。ロレックスで世界一高く売れた腕時計は、ポール・ニューマンが娘の恋人に手渡した1本だった俳優ポール・ニューマンが、1984年に娘の恋人へ手渡した腕時計は、2017年に約1,775万ドルで売れ、ロレックスの競売最高額になった。裏ぶたの言葉や、売れ残りだった文字盤まで、その物語をたどる。
  7. 白い流しにたまった水の中で、濃い青のジーンズを、両手でおさえて洗っている絵。奥に、蛇口と洗剤のボトルが見える。AIで作ったとみられる絵で、実物の写真ではないジーンズは、洗いすぎなくていいリーバイス自身が出している洗い方ジーンズは何回はいたら洗うのか。デニムの本家リーバイスの公式ヘルプは「約10回はいたら」。洗濯機での洗い方、乾かし方、新品・黒・白・生デニムの扱いまで、ページの内容を紹介する。
  8. 茶色い革の編み上げブーツを、斜め前から描いた、写実的なイラスト。ひもを通す金属の穴が縦に並び、ひもは蝶結びになっている。留め金の機構や、ファスナーは描かれていない。AIで作った絵で、実物の写真ではないファスナーの最初の特許の名前は、「靴のための留め金」だった毎日上げ下げするファスナー。1893年の最初の特許の題名は、「靴のための、留め金の掛け外し」だった。2件の米国特許の原文と、二次資料をたどって、その来歴を読む。
  9. 金色のケースに、茶色い革ベルトの腕時計。文字盤に「SEIKO Quartz-Astron」と書かれている。ドイツ時計博物館が収蔵する、アストロンの写真月に5秒しかずれない腕時計が、時計の世界を変えた1969年12月25日に売り出された、世界初のクォーツ腕時計「クォーツ アストロン」。月に5秒しかずれない精度と、技術の公開が、時計の世界をどう変えたのか。セイコーミュージアムの説明をたどる。
  10. 古い広告の絵。上に「LEVI STRAUSS & CO'S PATENT RIVETED(リーバイ・ストラウス社の特許つき鋲留め)」の文字。その下で、2人の男が、それぞれ馬を使って、1本のズボンを左右に引っ張っている。絵には「It's no use they can't be ripped(破ろうとしても無駄。破れない)」の文字があるジーンズの鋲は、丈夫なズボンを頼まれた仕立て屋の工夫から始まったジーンズのポケットの角にある、小さな金属の鋲(リベット)。1873年の米国特許の原文と会社の説明、公文書館のブログが紹介する証言をたどり、なぜズボンに金属を打ち込んだのか、そして後ろポケットの鋲がたどった道を覗く。
  11. 店頭の白い台に並んだ、Salomon のトレイルランニングシューズ Speedcross の3足(白、ミント、黒)。2022年に撮影された現行モデルで、本文に出てくる2015年の共同企画の靴とは別のもの山道を走るための靴を、街で最初に選んだのは誰だったのか山道を走るための靴が、パリのセレクトショップから、ファッションの世界へ。最初に選んだのが誰かは、はっきりしない。資料に残る出来事をたどりながら、道具が「かっこいい」と見つけ直される過程を覗く。
  12. 窓辺の木の机に、開いた本、湯気の立つコーヒー、ツイードの布、革のバッグ、眼鏡が置かれているAIの時代に、なぜ「本を読む人」みたいな服が注目されているのか。ツイードやコーデュロイ、ローファー。どこか「本を読む人」みたいな服が、なぜ今、格好よく見えるのか。AIの時代との関係を、断定せずに、少しだけ考えてみた。

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