窓辺の木の机に、小さな葉や鳥を鉛筆で描いた紙が2枚と、色鉛筆、たたんだ緑や紺の布、糸巻き。AIで作った絵で、実際のアトリエの写真ではない。

FASHION・・記事内容:約3分

ミナ ペルホネンは、魚市場で働きながら始まった。「せめて100年続くブランド」と紙に書いてから30年

手で描いた柄の布から服を作るブランド、ミナ ペルホネン。1995年に皆川明さんが八王子のアトリエで始め、2025年に30周年を迎えた。名前はフィンランド語で「私」と「ちょうちょ」。

※生成画像

ミナ ペルホネンという服のブランドがある。小さな鳥や花や木を手で描いたような柄の布。名前を聞いたことがある人も多いと思う。

ブランドは2025年に30周年を迎えた。でも始まりは、拍子抜けするほど小さかった。

名前は、フィンランド語

ブランドを始めたのはデザイナーの皆川明さん。1967年に東京で生まれた。

19歳のときひとりでフィンランドを旅した。フィンランド北部の町ロヴァニエミで1着のコートに一目ぼれして、旅の予算の75%を使ってしまったという。そのコートが布づくりを始めるきっかけになった、と皆川さんは話している。

「ミナ」はフィンランド語で「私」、「ペルホネン」は「ちょうちょ」。公式サイトによると、旅で出会ったフィンランドの暮らしや文化に共感して、この言葉を選んだ。

八王子のアトリエと、魚市場

1995年に皆川さんは東京・八王子のアトリエで「ミナ」を立ち上げた。ファッション専門紙のWWDJAPANによると、ブランドが軌道にのるまでは魚市場でアルバイトをしながら服を作っていた。

始めるとき、皆川さんは紙にひとつの言葉を書いた。

せめて100年続くブランド

公式サイトは、スタッフはいまも「いつも100年後を想いながら」働いていると書いている。

2003年にはインテリアなど暮らしの道具に広げるときに、名前に「ペルホネン」を足した。

布を、柄から作る

このブランドの特徴は、服の前に布を作ることだ。

布の柄は会社の中のデザイナーが手で描いている。ブランドを始めたときからずっとだ。柄はシーズンごとに紙に描くところから始まる。どの糸を使うかを決めて、工場の職人と相談しながら布に仕上げていく。早くても半年、長いと1年。何年もかけて仕上げた布もあるという。

一緒に仕事をする国内の工場は25社以上。これまでに作った柄は1,000種類を超え、素材は5,000種類以上になる。

代表的な柄に「タンバリン」がある。形が少しずつちがう小さな点を25個、丸く並べた輪。それが布いっぱいに散らばっている。

大きくしない、という選び方

皆川さんはWWDJAPANの取材に、30年を振り返ってこう話している。

ファッション業界の方程式とは違う方法でブランドを始めた。ビジネス規模を大きくせず、素材からオリジナルで国内生産にこだわり続けてきた

利益を増やすためではなく、値段を超えるような品物を作りたい。その歩みは「ウイスキーを熟成させるようにゆっくりだった」という。

余った布も大事な材料として扱っている。公式サイトでは、はぎれのセットも売っている。

25年の服が、美術館に

2019年の秋から2020年の冬にかけて、東京都現代美術館で展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が開かれた。約25年間に発表した服の一部が並び、400着以上の服で埋めた部屋もあった。

皆川さんは2021年に代表を退いた。いまの代表は、2002年に入社したデザイナーの田中景子さんだ。皆川さん自身は2025年6月にフィンランドへの長年の貢献でフィンランド獅子勲章を受けた。

100年の、まだ3割

30年は、100年の3割ほどだ。

流行の速いファッションの世界で柄を手で描き、布を何年もかけて作る。急がないことを、ブランドの約束にしてきた。

クローゼットの服を1着何年着ているか数えてみる。長く着られる服は、たぶん作る側も長い時間をかけている。

出典

情報確認:2026年10月

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