COLUMN・・記事内容:約3分
大人になると、なぜ昔好きだったものがまた面白くなるのか
新しいものを探すだけが『遊び』じゃない。昔好きだったものをもう一度覗いてみると、今の自分の変化にも気づける。そんな、少し懐かしくて目的のない寄り道の記事だ。
昔好きだった漫画を、久しぶりに読んでみる。昔好きだった曲を、ふと聴いてみる。子どもの頃に夢中になっていたゲームを、動画で見つける。
すると、「あれ、こんなに面白かったっけ?」と思うことがある。
もちろん、昔と同じように楽しめるものもある。逆に「いま見ると、なんでこれが好きだったんだろう」と思うものもある。でも、不思議なのはそこじゃない。昔好きだったものをもう一度覗いてみると、昔とは違うところが面白くなっていることがある。
昔は「かっこいい」だけだった
子どもの頃は、単純だった。強いキャラクターが好きだった。速い車が好きだった。派手な技が好きだった。面白い漫画が好きだった。音楽も「この曲かっこいい!」で聴いていた。それで十分だった。
ところが大人になってから昔の作品を見ると、「あ、このキャラクターって、こういうことを言ってたのか」とか、「この人、実はめちゃくちゃ苦労してたんだな」とか、「この歌詞、いまになって意味がわかるな」とか。昔は気づかなかったところが、妙に気になる。
同じ作品なのに、見えてくるものが違う。
自分が変わったから、同じものでも違って見える
当たり前といえば、当たり前なのかもしれない。作品は変わっていない。変わったのは、自分のほうだ。
子どもの頃には知らなかったことを知った。仕事をするようになった。人間関係で悩んだ。誰かを好きになった。失敗もした。責任を持つようになった。家族ができた。そういう経験が増えると、昔はただの「物語」だったものが、少し違って見えてくる。
昔は主人公に気持ちを重ねていたのに、いまは脇役のほうが気になったりする。昔は「なんでこの大人はこんなことをするんだ」と思っていたのに、いま見ると「いや、この人も大変だったんだろうな」と思ったりする。
同じものを見ているのに、受け取るものが違う。なんだか面白い。
「懐かしい」だけじゃない
昔のものを見て、「懐かしいなあ」で終わることもある。でも、たまにそこから先がある。
昔はわからなかったことが、いまならわかる。昔は興味がなかったものが、いまは気になる。昔は気づかなかった細かいところに、妙に惹かれる。
昔のものをもう一度見ることは、昔の自分を見ることでもあるけれど、いまの自分を知ることでもある。「あ、自分はいま、こういうところに惹かれるんだ」と気づく。それって、ちょっと面白い。
大人になってからの「好き」は、少し変わる
子どもの頃の「好き」は、かなり強い。好きなら好き。嫌いなら嫌い。理由なんていらない。
でも大人になると、「なんとなく好き」が増えてくる。昔ほど熱狂しているわけじゃない。毎日追いかけるわけでもない。でも、たまに触れると心地いい。
昔好きだった音楽を、車で流す。古い漫画を一冊だけ読む。昔見ていた映画を、休日の夜にもう一度見る。そういう時間が、意外といい。
昔好きだったものは、意外と逃げない
新しいものを追いかけるのも楽しい。知らない店を見つける。知らない街を見る。知らない音楽を聴く。知らないものを覗く。
でも、全部が新しい必要もない。昔好きだったものを、もう一度覗いてみる。それも立派な寄り道だと思う。
しかも面白いのは、昔と同じものなのに、いまの自分には違って見えること。新しいものを探しに行かなくても、自分が変わっていれば、昔のものまで少し新しくなる。
昔の自分と、いまの自分
たぶん、大人の遊びって、そういうものなのかもしれない。新しいものを探すだけじゃない。昔好きだったものを、もう一度覗いてみる。昔の自分といまの自分を比べて、「へぇ、俺ってこんなふうに変わったんだ」と気づく。
別に成長している必要もない。昔より詳しくなっている必要もない。ただ「なんか、いま見ると面白いな」と思えれば、それでいい。
さて。今日は帰ったら、昔好きだった曲でも聴いてみようかな。
……何を聴いていたっけ。