午後の日が差す木の机に、コーヒーカップと小さな目覚まし時計。横に、枕がわりにたたんだ上着が置かれている。AIで作った絵で、実際の写真ではない。

BODY & HEALTH・・記事内容:約3分

コーヒーを飲んでから、15分眠る。居眠り運転の研究から生まれた、昼すぎの眠気の消し方

昼すぎの眠気に、コーヒーか昼寝か。イギリスの睡眠研究所が試したのは、その両方を順番にやる方法だった。運転のミスは、偽の薬を飲んだ日の9%まで減った。

※生成画像

昼ごはんのあと、2時を過ぎたあたり。会議の資料の文字が少しずつ遠くなる。

コーヒーを飲むか少し寝るか。どちらか一方ではなく、両方を順番にやる方法がある。コーヒーを飲んですぐに眠る。英語では「コーヒーナップ」と呼ばれている。

居眠り運転の研究から

始まりは、イギリスのラフバラー大学の睡眠研究所だ。ここでは居眠り運転の事故を長く調べていた。

単調な道を長く走ると人は眠くなる。とくに夜中と昼すぎの時間帯。研究所のジム・ホーンらは、眠気には前ぶれがあると書いている。運転手は眠くなってきたことには気づいている。ただ眠りに落ちたことは覚えていない。

窓を開けて冷たい風を入れる。ラジオをつける。こうした工夫が効くのは短い時間だけだった。

コーヒーと、15分の昼寝

1997年、ルイーズ・レイナーとホーンは、ある組み合わせを試した。

眠気を抱えた12人に、昼すぎの運転シミュレーターで2時間走ってもらう。単調な道をずっと。その前に30分の休みを入れて休み方を変えた。

偽の薬の日は昼すぎに眠気の山が来た。運転のミスが増え、脳波にも眠気が出た。

カフェインだけの日はその山が小さくなった。ミスは偽の薬の日の34%まで減った。

カフェインと昼寝を組み合わせた日は、山が消えた。ミスは偽の薬の日の9%まで減った。

面白いのは、うまく眠れなかった人でも効いたことだ。研究者たちはうとうとしただけの状態も、効果があったと書いている。

20分の時間差

なぜ順番が大事なのか。

眠気のもとのひとつはアデノシンという物質だ。起きているあいだ脳にたまっていく。眠ると片づけられる。カフェインは、このアデノシンが効く場所に先回りして、ふさいでしまう。

そしてカフェインが効き始めるまでには、20分から30分ほどかかる。アメリカのスタンフォード大学の睡眠の研究者、西野精治さんは、ナショナル ジオグラフィックの取材にそう話している。ちょうど短い昼寝の長さだ。

飲んでから眠ると、眠っているあいだにアデノシンが少し片づき、目が覚めるころにカフェインが効いてくる。

日本でも、試されている

2003年、広島大学の林光緒さんらも似た実験をした。

昼の12時40分に、20分の昼寝をする。その前にカフェインを飲むか。昼寝のあとで明るい光を浴びるか。顔を洗うか。

いちばん効いたのは、カフェインを飲んでからの昼寝だった。眠気も作業の成績も、昼寝のあと1時間ずっとよかった。顔を洗うのはすぐ後の眠気には効いたが、長くは続かなかった。

やり方は、シンプル

  1. 昼すぎ、眠気が来たらコーヒーを飲みきる
  2. アラームを15〜20分後にかける
  3. 机に伏せるか椅子にもたれて目を閉じる。眠れなくてもいい

長く寝すぎると深い眠りに入って、かえって頭が重くなる。アラームは守る。

それから時間には気をつける。アメリカの研究では、寝る6時間前のカフェインでも、夜の眠りが短くなった(この実験の量は、コーヒー4杯ほどと多め)。夕方のコーヒーナップは、夜の眠りに響くかもしれない。

ただし効き方には個人差がある。西野さんも考え方は正しいが、本当に効くかはまだ研究が足りないと、慎重に話している。

2時の15分

コーヒーを飲んで眠る。言葉にすると少しおかしな組み合わせだ。

でも昼すぎの15分を自分のために使うのは、悪くない。目が覚めたころ、さっき飲んだ一杯が、ちょうど追いついてくる。

出典

情報確認:2026年10月

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