黒い背景に、金色に光る丸い円盤。表面に、レコードと針の絵、波形、放射状の線の地図、2つの小さな丸が線で刻まれている。

CULTURE & HOBBY・・記事内容:約3分

ボイジャーの金のレコードには、55の言葉の「こんにちは」と、雷とキスの音が入っている。1977年、宇宙に投げたびん

1977年に打ち上げられた探査機ボイジャーには、宇宙の誰かに向けた金色のレコードが積まれている。55の言葉のあいさつ、地球の音、90分の音楽、115枚の絵。カバーには、拾った誰かへの説明書が刻まれている。

写真: NASA/JPL / Wikimedia Commons(パブリックドメイン)。縮小あり

冒頭の写真は、レコードのカバーだ。表面には、レコードと針の絵、波の形、放射状の線、2つの小さな丸。

このレコードは、1977年に打ち上げられた2機の探査機ボイジャーに積まれた。宛先は、いつか、どこかで、これを拾うかもしれない宇宙の誰か。

宇宙の海に投げる、びん

NASAによると、このレコードの中身を選んだのは、アメリカのコーネル大学の天文学者カール・セーガンが率いる委員会だった。

NASAのジェット推進研究所(JPL)の記事によると、委員会が中身を決めて録音を集めるのに使えた時間は、およそ6か月しかなかった。

セーガンは、当時こう話している。「この『びん』を宇宙の海に投げることは、この星の生命について、とても希望に満ちたことを語っている」

55の言葉の「こんにちは」

レコードの中には、55の言葉による、あいさつが入っている。

いちばん最初は、およそ6,000年前にシュメールの地で話されていたアッカド語。最後は、中国の呉語。

NASAの一覧には、日本語のあいさつもある。英語の訳は「Hello? How are you?」。こんにちは、お元気ですか。

JPLの記事は、いくつかのあいさつを紹介している。中国東部のアモイ語は、「宇宙のお友だち、お元気ですか。ごはんはもう食べましたか。時間があったら、遊びに来てください」。アラビア語は、「星の友へ、あいさつを。いつか会えますように」。

インド北西部のラージャスターン語は、少しそっけない。「みなさん、こんにちは。私たちはここで幸せです。あなたたちはそこで幸せに」。

雷の音と、キスの音

あいさつのあとには、「地球の音」が入っている。波の音、風、雷、鳥、クジラ、雨、チンパンジー。人が作った音では、汽車や、キスの音も。

そして、90分の音楽。JPLによると、ルイ・アームストロングのジャズから、メラネシアのパンパイプ、ナバホ族の夜の歌、ベートーヴェンの交響曲まで。東洋と西洋の古典に、世界各地の民族音楽。

さらに、絵や写真が115枚。音の信号にして、レコードに刻まれている。

拾った誰かへの、説明書

レコードは、金めっきをした銅でできていて、直径30センチ。カバーはアルミニウムで、針もいっしょに入っている。

冒頭の写真の、カバーの絵は、拾った誰かへの説明書だ。NASAによると、左上はレコードと針の絵で、外側から内側へ再生すること、1回転にかかる時間が書かれている。左下の放射状の線は、14個のパルサー(規則正しく電波を出す星)をもとにした、太陽系の位置を示す地図。右下の2つの丸は、水素原子で、時間の単位を伝えている。

カバーには、ごく少量のウランも塗られている。どれだけ放射線で減ったかを測れば、打ち上げからの時間がわかるように。

拾われる日は、来るのか

NASAによると、ボイジャーが別の星の近くを通るのは、およそ4万年後。そして、このレコードが再生されるのは、宇宙を旅する進んだ文明に出会ったときだけだ。

つまり、たぶん、誰にも聞かれない。

JPLの記事は、こう書いている。宇宙人にとっては、言葉はひとつのほうが解読しやすいはずだ。だから、たくさんの言葉を入れたのは、地球の人たちのためでもあるのだろう。

今夜の空に

当時の大統領ジミー・カーターのメッセージも、絵としてレコードに入っている。

「これは、小さな遠い世界からの贈り物です。私たちの音、科学、絵、音楽、考え、そして気持ちのしるしです」

ボイジャー1号は、いまも、太陽からどんどん遠ざかっている。

だから今夜、空を見上げたら、思い出してほしい。どこかの暗がりを、「お元気ですか」が、時速も気にせず旅している。雷の音とキスの音を、いっしょに連れて。もし誰かが拾ったら、きっと首をかしげるだろう。この星の人は、あいさつの次に、なぜキスの音を入れたのか、と。

出典

情報確認:2026年10月

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