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ペルーの山奥には、毎年かけ替えられる草の吊り橋がある。インカの時代から500年、村人総出の3日間
アンデスの谷にかかる長さ28mの吊り橋ケスワチャカは、山の草をよった綱でできている。4つの村の人たちが毎年6月、3日かけて作り直す。2013年にユネスコの無形文化遺産になった。
写真: Aga Khan (IT) / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。縮小・再圧縮・メタデータ削除あり

南米ペルーの南部、アンデス山脈の深い谷に1本の吊り橋がかかっている。長さはおよそ28m。足もとをアプリマック川が流れている。
この橋は草でできている。そして毎年近くの村の人たちが自分たちの手で新しくかけ替えている。
橋の名前はケスワチャカ。いまも残るただひとつのインカの吊り橋だと言われている。
インカの道の橋
インカは15〜16世紀に南米の西側を治めた帝国だ。山の国をつなぐために、とても長い道の網を作った。その道「カパック・ニャン」は2014年に世界遺産になっている。
深い谷を渡るためにインカの人たちは草の綱で吊り橋を作った。ナショナル ジオグラフィックによると、ケスワチャカは5世紀にわたって作っては作り直されてきた。
材料は、山の草
材料は山の斜面に生える「イチュ」という細長い草。ペルー政府の観光サイトによると、標高およそ4,000mのところで刈り取る。
かけ替えは、家族ごとに草をよって長さ70mほどの細い綱を作るところから始まる。それを橋づくりの親方2人の指示で、さらに太くより合わせる。最後に6本の大綱ができる。ユネスコはそう説明している。
橋を作り直すのは4つの村の人たち。南米の先住民の言葉、ケチュア語を話す人たちだ。
3日間の仕事と祭り
かけ替えは毎年6月の第2週に、3日間で行われる。
細い綱をよるのは女性と子どもたちの仕事だ。谷へ降りて大綱を張るのは男性だけ。言い伝えでは、女性が谷に近づくと悪いことを呼ぶ声を引き寄せるとされている。
男たちは大綱を、昔からの石の土台にきつく結びつける。両岸から親方が編み進め、足を置く床には枝や葉を敷く。
古い橋は綱を切られて、谷底へ落ちていく。

作業の前には、大地の母「パチャママ」に許しを願う。終わると山の神に感謝する。あとは音楽と踊りの宴だ。
かけ替えないと、天気が荒れる
村の人たちは、橋をかけ替えなかった年にひょうや日照りに苦しんだと語る。かけ替えないと畑が天気に恵まれなくなると信じている、とペルー政府の観光サイトは書いている。
2013年、この橋のかけ替えにまつわる知識と技と儀式が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。ユネスコはこの橋を、村の人たちと自然や伝統や歴史とのつながりを表す、聖なるものとしている。
作り直し続けて、残す
鉄の橋なら一度作れば何十年ももつ。草の橋は1年しかもたない。
でもだからこそ毎年みんなで集まる理由がある。草をより、綱を張り、古い橋を谷に返す。それを500年くり返してきた。
クスコの文化財の専門家カルメン・アロスピデは、橋のかけ替えは村の人たちにとって、自分たちのしていることを世界が認めてくれることでもある、と話している。
壊れにくいものを作るのではなく作り直し続ける。そんな残し方もあるのだと思う。
出典
- UNESCO「Knowledge, skills and rituals related to the annual renewal of the Q’eswachaka bridge」(無形文化遺産、2013年)
- National Geographic「the Qeswachaka bridge building ceremony in Peru」(Abby Sewell、2018年8月31日)
- Peru.info(ペルー政府観光局)「Q’eswachaka, the hanging bridge that was started by the Incas and is still being built today」(2019年)
情報確認:2026年10月


