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ジョージアのワインは、地面に埋めた卵形の壺の中で、皮も種もいっしょに5〜6か月かけて作る
黒海とカスピ海のあいだ、コーカサス山脈の南の国ジョージアでは、ぶどうの果汁を皮や種や軸ごと卵形の素焼きの壺「クヴェヴリ」に入れ、地中に埋めて発酵させる。2013年にユネスコの無形文化遺産になった。
写真: Mesashunawines / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。縮小・再圧縮あり
ジョージアは、コーカサス山脈の南にある国だ。 この国でワインの話になると出てくるのは樽ではなく壺だ。
壺の名前は「クヴェヴリ」。卵のような形をした素焼きの大きな入れ物でワインを仕込み、ねかせ、しまっておくために使う。2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された。無形文化遺産は建物ではなく技や習わしを守るための登録だ。その説明によると、この方法はいまも、多くの農家や街の人たちが使っている。
ぶどうは、皮も種も軸も、壺の中へ
作り方はユネスコの説明を読むかぎりこうだ。 ぶどうをつぶして、その果汁を、皮と房の軸と種といっしょにクヴェヴリへ入れる。口をふさいで壺ごと地面に埋める。 そのまま5〜6か月、ワインは土の中で発酵していく。飲むのはそのあとだ。
壺の大きさや埋める深さは、ユネスコのページには書かれていない。だからそこは「大きな壺を埋める」としか言えない。
ひとつの技が、三つの分野にまたがる
ユネスコは、この伝統を三つの分野にまたがるものとして登録している。社会の習わしや儀式・祭り、伝統的な工芸、そして自然や宇宙についての知識と習慣だ。 ワイン作りの技ひとつが、壺を作って焼く工芸と、ぶどうや季節を読む知識と人が集まる祭りの場と、ぜんぶつながっている。ユネスコの登録の書き方を見ると、そのつながりが見えてくる。
技は、見て覚える
おもしろいのは技の伝わり方だ。 家族や隣人、友人、親戚が集まっていっしょに収穫してワインを仕込む。子どもたちはそのまわりで大人のすることを見て覚えていく。ぶどうの手入れ、搾り方、発酵のさせ方。粘土を集めてクヴェヴリを作って焼くところまで。 壺を作ることもワイン作りの仕事のうちなのだ。
19世紀の本にも

1889年にフランスで出た本『Le Caucase illustré』(『挿絵入りのコーカサス』)には、横に倒した大きなクヴェヴリにもたれる男の人の絵がある。写真をもとにした挿絵だという。男の人の背丈より大きく描かれていて、壺がかなり大きいことは伝わってくる。
家でいちばん神聖な場所
ユネスコはワインを仕込んでしまっておく蔵が、いまも家の中でいちばん神聖な場所と考えられている、と書いている。ワインとぶどうはこの国の口伝えの物語や歌にもよく出てくる。暮らしの習慣であり、土地の人たちが「自分たちらしさ」と考えるものの一部でもある、という説明だ。 ワインを飲むということのなかに、家と土と歌が入っている。
次にジョージアのワインを見かけたらラベルの向こうに、地面の下で何か月も静かに待っていた壺を、少しだけ思い浮かべてみる。
出典
- UNESCO「Ancient Georgian traditional Qvevri wine-making method」(無形文化遺産、2013年)
- UNESCO 無形文化遺産 委員会の決定 8.COM 8.13
情報確認:2026年10月


