朝の光が差す窓辺の木の机に、水の入ったグラスと、何も書いていない開いたノートとペン、小さな鉢植え。AIで作った絵で、実際の写真ではない。

MIND・・記事内容:約3分

「ダイエットは月曜から」は、言い訳ではなかった。区切りの日に、人はやる気になる

月曜、月はじめ、誕生日。区切りの日には、ダイエットの検索も、ジムに行く人も、目標を立てる人も増える。ウォートン校の研究者たちは、これを「フレッシュスタート効果」と名づけた。同じ日を「春の初日」と呼ぶだけで、やる気は変わった。

※生成画像

「ダイエットは月曜から」。言ったことがある人は多いと思う。そしてたいてい少し笑われる。

先のばしの言い訳にしか聞こえない。でもアメリカの研究者たちは、この言い方が意外と理にかなっていることを、データで示している。

「ダイエット」が検索される日

2014年、ペンシルベニア大学ウォートン校のヘンチェン・ダイ、キャサリン・ミルクマン、ジェイソン・リースがひとつの論文を出した。

最初に調べたのは、アメリカのグーグルで「diet(ダイエット)」という言葉が、いつ検索されているかだった。

ふだんの日とくらべると新しい週の始まりには14.4%、新しい月の始まりには3.7%、そして新しい年の始まりには82.1%も多く検索されていた。祝日の翌日も、10.2%多かった。

年明けにダイエットを思い立つのはよく知られている。でも同じことが毎週の月曜にも小さく起きていた。

ジムに行く日

次は本当に体を動かしたかどうか。

研究者たちは、アメリカ北東部のある大学のジムの入館記録を使った。学生が会員証を通すと自動で記録が残る。会員は、1万1千人あまり。2010年9月からの442日ぶんだ。

ふだんの日とくらべてジムに行く確率は、週の始まりに33.4%、月の始まりに14.4%、新学期の始まりに47.1%高かった。長い休みが明けた日も、24.3%高い。

誕生日のあともジムに行く確率が7.5%上がっていた。

ただしひとつだけ例外があった。21歳の誕生日だ。この誕生日のあとは逆にジムに行かなくなる。アメリカでは、21歳でお酒が飲めるようになる。研究者たちは理由をいくつか考えているが、どれも推測にすぎないと正直に書いている。

目標を宣言する日

3つめは目標を立てて、自分で約束するウェブサイトのデータだ。仕事、勉強、人間関係。健康以外の目標でも同じことが起きた。

新しい週の始まりには62.9%、新しい月の始まりには23.6%、新しい年の始まりには145.3%、目標を宣言する人が増えていた。

研究者たちは、この現象を「フレッシュスタート効果」と名づけた。

区切りは、過去の自分と切り離してくれる

なぜ区切りの日に人はやる気になるのか。

研究者たちの考えはこうだ。区切りの日は時間に線を引く。その線の向こうに、これまでのだめだった自分を置いてこられる。そして少し引いた目で自分の人生を見るようになる。

先週は食べすぎた。でもそれは先週の自分だ。今週の自分はまだ何も失敗していない。

「春の初日」と呼ぶだけで

翌年の2015年には同じ研究者たちが、さらに面白い実験を発表している。

2014年3月のはじめ、オンラインで参加者を集め、、4月から始めたい目標を書いてもらった。そして、3月の終わりに、目標を思い出させるメールを送ると提案した。いつ受け取るかは日にちのリストから選ぶ。

リストの中に、3月20日があった。

ある人たちにはその日をこう書いて見せた。「3月20日(木)春の初日」。ほかの人たちにはこう書いた。「3月20日(木)3月の第3木曜日」。

同じ日だ。書き方が違うだけ。

それでも、「春の初日」と書かれた人たちは、25.6%がその日を選んだ。「第3木曜日」と書かれた人たちは、7.2%だった。

月曜は、毎週来る

フレッシュスタート効果のいちばんいいところは、区切りが何度でも来ることだ。

正月を逃しても来月の1日が来る。来月を逃してもまた月曜が来る。誕生日も新しい季節も引っ越しも区切りになる。

「月曜から」と言うのは言い訳ではないのかもしれない。区切りを自分で選んでいるだけだ。

ただ月曜の朝に何から始めるかだけは、日曜の夜に決めておいたほうがいい。せっかくの区切りを二度寝で越えてしまわないように。

出典

情報確認:2026年10月

次の一杯